某出版翻訳プロジェクト オフ会

  • 投稿日:
  • by
某出版翻訳プロジェクトのオフ会に参加してきました。
場所は、「世界の山ちゃん」。

R0011827.jpg

なぜ、店名が「世界の」山ちゃんなのかは不明だが、看板メニューの手羽先は確かにうまかった。皆さん、たくさん食べておられました。

Paul NitzeといえばNSC68やGaither Reportの起草者として米国では有名だが、日本で彼の名を知る人はおそらく少ないだろう。SAISでも、創立者であるNitzeについて詳しく知っていたり、興味を持つ学生はあまりいなかったように思う。

一方のGeorge KennanはX論文の起草者として日本でも有名であり、国際関係専攻の学生なら何冊か彼の本を読んでいると思われる。

The Hawk and the Dove: Paul Nitze, George Kennan, and the History of the Cold War
Nicholas Thompson
0312658869

一般には、ケナンがPolicy Planning Staffの座を追われ、ニッツェがその後任となったことから、二人の関係はあまり良くなかったのではないかと思われがちなのだが、実はプライベートでは極めて親密な関係にあったのであり、このことは、ケナンの80歳の誕生日にニッツェが駆けつける冒頭のエピソードからも伝わってくる。

ニッツェは核を中心とする軍備管理の専門家であり、核抑止理論を捨て去ることはなかった。
一方のケナンは核抑止理論に基づいて国際関係を分析すること自体ナンセンスだと考えていた。
それにしても、国際関係に対する基本的なスタンスが大きく異なる二人が、生涯にわたり互いを尊敬し合うことができたのはなぜだろうか。
著者は、時の政治権力や周囲の人間たちと二人の関係を丹念にたどることでそれを解明しようと試みる。ニッツェもケナンも共に、知識人として日の当たる場所を歩くこともあれば、忸怩たる思いで浪人時代を過ごすこともあった。

そこから見えてくるのは、「国家」の安全保障に携わる知識人の宿命として、政策決定者の一員であるはずの自らがそのような「国家」の拘束を大きく受けるという構図であり、そのような「国家」の前では、時には無力ですらあったということである。

もしかすると、若い時に知り合った二人は、「国家」の政策決定にかかわる中で、互いの中に「自己」を見出していたのかもしれない。

当然ながら、外交の世界はきれいごとだけでは済まない領域である。本書では、1930年代にケナンが関わった諜報活動についても述べられており、日本ではあまり知られていないインテリジェンス・オフィサー、ケナンについても知ることができる。これは日本の読者に対して新たな視野を提供してくれるかもしれない。

著者であるThompsonはニッツェの孫にあたる人物だが、特にニッツェに肩入れすることなく、そのスタンスは極めて中立的である。冷戦時代の人物について書かれた本は多いが、本書はケナンとニッツェの人物像を生き生きと描きながら、同時にアメリカ外交、特に核を中心とする安全保障政策についてもその流れを辿ることができることから、国際関係や公共政策系の学生にとって楽しく読める内容となっている。

翻訳百景ミニイベント - 本日開催

  • 投稿日:
  • by
越前敏弥氏と井口耕二氏のコラボによるイベントが本日開催されます。

テーマは、「良い翻訳と悪い翻訳」です。

実は、事前申し込みも済ませ、すっかり参加する気でいたのですが、直前になり都合でキャンセルせざるを得なくなりました。残念です。

井口氏には、去年JATの集まりで貴重な話を聞くことができたのですが、越前氏の話を聞く機会が今までなかったため、楽しみにしていたのでした。

越前氏といえば、『ダヴィンチコード』の翻訳や『日本人なら必ず誤訳する英文』で有名な方です。

相当な人数の申し込みがあったようで、QAの時間もとってあったりと、イベントとして盛り上がる内容なのではないかと思います。

まあ、気持ちを切り替えて、次の機会を待つことにしましょう。



今年の手帳

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

一時期、『超整理手帳』その他を使っていたのですが、本屋でパラパラめくってみた結果、今年は『ビジネス手帳2013』を使うことに決定!


ビジネス手帳 2013(見開き1週間バーチカル式)
(株)ウィルPMインターナショナル
4522458568

一番の理由は、1週間を効率よく俯瞰できるような構成になっていること。
他にも、「行動科学」という言葉に惹かれたのと、「行動契約書」という小冊子が入っていることが面白いと感じた。

「行動契約書」には、達成したい目標や、そのために必要なターゲット行動を書く欄があるが、何を書くかはまだ決めていない(笑)。

日本の対中政策が定まらないのは、日本の保守主義者の態度が歴史的に流動的であったため、というのが著者の分析の出発点である。中国の勢力圏は拡大するため、日本の保守主義者の中には、日本が中国の勢力圏内にいれば日本のビジネスチャンスも比例して拡大すると見る者もいれば、小沢一郎氏のように、よりあからさまに、中国と一緒に進めば米国はもう必要ないと見る者もいる。

The Rise of China vs. the Logic of Strategy
Edward N. Luttwak
0674066421

次に、2009年12月の小沢氏の中国訪問から2010年9月7日の尖閣事件、そして2011年3月11日の東日本大震災および現在に至るまで、日本の対中政策が大きく変化していった様子が説明される。著者によれば、2009年12月というのは、日中関係が最高潮に達したのに対し、日米関係は最低を記録した月であったという。しかし、このような良好な日中関係はすべて、 2010年9月7日の尖閣事件によって突然大きく変化した。

自滅する中国
エドワード・ルトワック 奥山 真司
4829505907

2011年3月11日の東日本大震災は、自衛隊の能力および米軍の重要性を国民に示す絶好の機会となった。したがって、このような中、日本の防錆予算が増えることは最もなことである。また、震災中に米軍が示した行動も、米軍に対する日本国民の意識を鼓舞する上で大きな役割を果たした。

後半は、中国の勢力圏拡大を日本のビジネス上の利益と結びつけた分析が中心。日本は、中国の天下の内側にいることで反映できるという一部の保守主義者の考えには限界がある。なぜなら、中国がどこまでも礼儀正しいという保証はないからだ。

鍵となるのは、ロシアおよびその同盟諸国である。これらの国々が、商取引の分野で中国包囲網に加われば、中国は極めて困難な状況に置かれることになる。ロシアにとっても、国境地帯に大量の中国人が流入するよりも、日本の事業が参入する方が良いだろうし、地元で日本企業による雇用が発生すれば、人口の流出を防ぐことができる。

したがって、日本が、北方領土問題を脇に置き、ロシア極東地域で事業を活発化させれば、同地域でシメトリカルに活動する中国人に対抗することができるだろうというのが著者の結論。

活字人間の正月

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

年末ぎりぎりまで仕事をしていたのですが、ここまで仕事で缶詰め状態になると、大体いつもある種の禁断状態に陥ります。
そう、本を読む時間が確保できなくて、イライラするのです。

周りから見ると、なぜ落ち着かない様子なのか、わからないと思います。
以前、何かの本で加藤陽子さんが、空き時間が出来ると読書に没頭したいのだが、親戚の子供が遊びに来たりすると、かまってあげたりもするので大変だみたいなことを言っていたような気がするのですが、その気持ちはよくわかります。

今年の正月は多少時間が空いたので、読書の時間も確保でき、満足しています。
ちなみに、今は以下の本を同時並行で読んでいます。
以前に読んだ本もありますが、 特にルカレの本は、複数回、読む価値があると思うので。

スクールボーイ閣下〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)
ジョン ル・カレ 村上 博基
4150404313
スクールボーイ閣下〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)
ジョン ル・カレ 村上 博基
4150404321
A Cultural Theory of International Relations
Richard Ned Lebow
0521691885

テーブルの上には、まだ積読状態の本が山ほどあるのだけれど、さすが以これ以上は無理なので、この辺で、、、。

新年のご挨拶

  • 投稿日:
  • by
皆様、あけましておめでとうございます。

年末まで仕事に追われていたので、正月はゆっくり休養したいと思います。

といっても、窓の外は一面雪景色なので、これから雪かきか?
JAT(日本翻訳者協会)主催のイベント Koji Inokuchi on Translating "Steve Jobs"(出版翻訳:スティーブ・ジョブズ翻訳の裏側)に参加していきました。今年度は、JTFのイベントに参加できなかったため、翻訳者である井口氏から直接話を聞く機会はこれが最後になると思い、参加しました。
 
講演の内容ですが、出版翻訳業界の近況や、故山岡洋一氏との縁がきっかけとなり出版翻訳の世界でも仕事をするようになったこと、世界同時発売という制約の下で作業スピードをアップさせるためにさまざまな工夫を凝らしていることなどについて話があり、私としてはただただその内容に驚くばかりでした。世の中にプロを名乗る人はたくさんいますが、井口氏の場合はまさにプロ中のプロという感じです。
 
また、井口氏のレベルでも、陰に陽にさまざまな営業活動をされていることを知り、自分としても今まで以上の努力が必要であると実感。ちなみに、井口氏はTradosなどはほとんど使用せず、今回の"Steve Jobs"も、秀丸に加えて、自分で作成したマクロを駆使して作業されたとのです。また、ご自身の仕事部屋も写真で見せていただきました。ここでは、椅子の角度が大事(一定の角度で前掲しているものがよいとのこと)とのお話もあり、「たしかにそうだよな」と妙に納得。
 
講演のあとは、渋谷のパブでJATの懇親会。楽しく盛り上がりました。でも、英国式のパブのため立って話す時間が長くなり、ちょっと疲れました。早めにホテルの部屋に戻り、爆睡。
Blind Oracles: Intellectuals and War from Kennan to Kissinger (2007) は、豊富な歴史資料を猟補しながら、冷戦期アメリカの対外政策において大きな影響力を持った知識人たちを歴史家の観点から批判的に検証したユニークな研究である。

Blind Oracles: Intellectuals and War from Kennan to KissingerBlind Oracles: Intellectuals and War from Kennan to Kissinger
Bruce Kuklick

Princeton Univ Pr 2007-07-16
売り上げランキング : 318051

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


本書で著者は、B・ブロディーやA・ウォルステッター、A・メイやG・アリソンなど、RANDやハーバードのKスクールを拠点としていた知識人、さらに、G・ケナンやP・ニッツェ、H・キッシンジャー、R・マクナマラなど、冷戦期のアメリカで大きな権限を持ち、当時の政策決定に深く関与した知識人たちの思考と行動を分析することで、彼らに共通する知的伝統の抽出を試みている。

これらの知識人に対する著者の評価は明快である。「これらすべての人たちが持っていると宣言していた知識に対して懐疑的になることが必要である。・・・知的であるとされた知識人たちの考えには妥当な影響力はなかった」。彼らのやり方は「セミナー・ルームで勉強しているかのよう」であり、「この時代に受け入れられていた知識はわれわれが望むものを満たしていない」。

著者が批判的になるのには理由がある。つまり、これらの知識人の多くが共通して持っている合理主義や科学信奉主義が現実を大きく見誤ると考えるのである。たとえば本書の主張からは、キューバ危機でアメリカがソ連に勝利したことが、RANDやKスクールの合理主義に対する批判的な検討を阻み、結果として1960年代にアメリカがヴェトナムで泥沼に入っていく一つの大きな原因を作ったと見ていることが推察できる。

また、G・H・アリソンの『決定の本質』でについて著者は、この本はいわば1960年代にアメリカ国内で生じた社会的混乱の結果であり、ハーバードと接点のある公共政策系の研究者たちがこれらの混乱を解釈した結果であると見る。「アリソンはキューバについて書いた。しかし、彼と彼の仲間たちは、アリソンが影響を受けたRANDのアイディアがなぜ東南アジアで混乱してしまったのか悩んだのである」。そして、アリソンのモデルは、結局は「スタイリッシュな相対主義」にすぎないと結論付けるのである。

知識人を個人攻撃することが本書の目的ではないと著者は言う。。何人もの知識人を登場させ、畳み掛けるような議論を執拗に展開した先には、アメリカ知識人の多くが一つの大きな知的伝統を共有していることが示され、そこにこそ目を向けるべきであると著者は訴える。