Kazuo Ishiguro (カズオ・イシグロ). ノーベル文学賞受賞

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日系英国人のKazuo Ishiguro (カズオ・イシグロ) が今年度のノーベル文学賞を受賞することになった.

一介の読書人に過ぎない私が言うのも失礼だが,正直,びっくりした.

ご本人も,"magnificient honour (大変な名誉)" と謙虚に述べる一方で,最初は"hoax (悪ふざけ)" とも思ったらしい.


この動画のキャスターの発音が「イシグロ」ではなく「アイシグロ」に聞こえるのは気のせいか?(笑)

彼の名前を最初に知ったのは,斉藤兆史氏の『英語達人読本』で紹介されていたのを目にしてからだが,一部の作品,例えばNever Let Me Goは英語・日本語の両方で読んでいる.

私の年齢からいえば,そろそろThe Remains of the Dayのような小説をじっくり読んでもいい頃だと思うが,映画で主演したAnthony Hopkinsの印象が強過ぎて,こちらの方は『英語達人読本』に収められている抜粋以外はまだ読んでいない.

いずれにせよ,とても綺麗な英文を書く人であり,一人称で語る形式の文章が多いこともあり,口慣らしの音読用にはとても良い英文だと感じている.

言うまでもなく,ご本人は英国籍であり,日本は自分が生まれた国に過ぎない.ただし,国籍を取得したのは大人になってからのようだ.

言葉の面はともかく,自身の主体的な選択として国籍を変えたと言うことになろうか.

だとすれば,一定年齢までは周りから日本人として認識されていたと言うことであり,このことが後の創作活動にもなんらかの影響を与えたとしても不思議ではない.彼の小説から感じるある種の「浮遊感」の背景に,アイデンティティーを模索する彼なりの葛藤があったとみなすのは考えすぎだろうか.

日本生まれという生い立ちと,"Become British" という選択を経たIshiguroが,今後,どのような立ち位置で小説を書き続けるのか,日本の片隅で,楽しみながら見守っていたい.